適切なメカニカルシールを選択するには、シールの仕様をアプリケーションの正確な動作条件に体系的に合わせ、最適な性能と長寿命を確保することが重要です。
選択プロセスは、5つの主要なステップに分けられます:
1. 主要な動作パラメータを定義する: まず、機器の基本的な動作条件を明確にします。
- 温度: シールされる媒体の通常温度と最大/最小温度の両方を記録します。これは、シールの面とエラストマーの材料適合性を決定するためです。
- 圧力: シールチャンバー内の動作圧力と圧力変動を決定し、そのような力に耐えることができるシール構造を選択します。
- 速度: シャフトの回転速度（rpm単位）を計算します。高速では、熱と遠心力を管理するために特殊な設計が必要になる場合があります。
2. シールされる媒体の特性を分析する: 媒体の特性は、材料の選択に直接影響します。
- 化学的適合性: 媒体が腐食性（例：酸、アルカリ）、研磨性（例：粒子を含むスラリー）、または粘性（例：オイル）かどうかを評価します。耐摩耗性のために炭化ケイ素、耐薬品性のためにフッ素ポリマーなどの材料を選択します。
- 固形分: 媒体に粒子が含まれている場合は、シールの面の損傷を防ぐために、フラッシングまたはフィルタリングシステムが組み込まれたシールを選択します。
- 揮発性: 揮発性または低潤滑性の媒体の場合は、面間に安定した潤滑膜を維持するように設計されたシールを選択します。
3. 適切なシールタイプを選択する: 機器とアプリケーションの要件に基づいて、シールの設計を選択します。
- シングルシール vs. ダブルシール: 清潔で危険性のない媒体にはシングルシールを使用し、漏れを防ぐために、有毒、可燃性、または高腐食性の媒体にはダブルシール（バリア液を使用）を使用します。
- カートリッジシール vs. コンポーネントシール: カートリッジシールは、簡単でエラーのない設置のために事前に組み立てられており、迅速な交換に最適です。コンポーネントシールはより柔軟性がありますが、現場での正確な組み立てが必要です。
4. 互換性のある材料を選択する: シールの材料コンポーネントをアプリケーションに合わせます。
- シール面: 一般的なオプションには、カーボングラファイト（一般用途に適しています）、炭化ケイ素（高硬度、耐摩耗性）、タングステンカーバイド（高圧に優れています）などがあります。
- エラストマー: ニトリルゴム（オイル、水用）またはバイトン（高温および化学薬品用）で作られたOリングまたはガスケットを選択します。
- 金属部品: 一般的な耐食性のためにステンレス鋼、極端な化学環境のためにハステロイを選択します。
5. 機器と設置の制約を考慮する: シールがシステムの物理的および運用上の制限内に収まることを確認します。
- シャフトのサイズと許容誤差: シールの内径がシャフトのサイズと一致することを確認し、許容可能なシャフトの振れまたは偏心を確認します。
- 空間的制限: シールチャンバーのスペースが限られている場合は、コンパクトなシール設計を選択します。
- メンテナンスアクセス: 届きにくい機器の場合は、長寿命またはメンテナンスが容易なカートリッジ設計のシールを優先します。
